プラスの違和感

何か聴いたり、観たりした時、何か「違和感」を感じることがあるだろうか?
違和感というと、マイナスのイメージである。「これは良いぜ!」と目上の人から聞かされたモノを実際観た時に感じる「違和感」、「良いですね!」と答えざるをえない不本意感。一度は経験されたことがあるかもしれない。

かと思えば、プラスの違和感もある。「おっ!これ良いね!」と感じた時の+αで感じるその先に何かありそうな期待感というか、「良いんだけど、何が良いのか消化しきれない感覚」とでも言うのだろうか…

わたしはそんな「プラスの違和感」を下記サイトで味わった。

Bill Atkinson Photographyhttp://www.billatkinson.com/
他のサイトと何か違うと感じただろうか?ページ自体のデザインレイアウトは別として、写真のページなどは「なんか写真綺麗だな〜」と思っていただける人がいるだろうか。いないだろうか。いないかもしれない…
この写真家、実は、Bill Atkinson氏の作品である。
Bill Atkinson氏は、言わずと知れた初期アップルコンピュータのエンジニアであり、名機Lisa、Macintoshプロジェクト、QuickDraw、HyperCard、MacPaintなど多くのプロジェクトに関わった開発者の一人として知られている。
現在は自然写真家として活動。「Within the stone」という鉱物の中の世界を映した写真集も出している。

そして、このサイト、実は見た目以上の手間をかけて作られている。
まず、掲載する画像をPhotoshopでAtkinson氏による自作スクリプトにかけ、細かなパラメーター調整を加え、一晩かけて3600枚の画像を生成。そしてこれまたAtkinson氏自作のHyperCardスタックを使って、最適な8枚を抽出。ユーザーの環境(接続速度、モニタガンマ値など)に合わせて最適な1枚を表示させている。(MAC POWER Issue 166参照)
まさに、Atkinson氏ならではのアプローチである。

ここまで調べて、わたしの中の違和感は解消された…というより納得した感覚の方が近いのかもしれない。また、最初にサイトを見た印象と解説を見た後のサイトの印象が変わった人もいるかもしれない。いないかもしれない…

Bill Atkinson Photographyちなみに、Atkinson氏、従来にないオフセット印刷をも試みている。わたしに印刷の知識があまりないので、詳細は割愛させて頂くが、独自のカラーマッチングの手法や、エプソン製プリンタ用のカラープロファイルなどを開発したり、日本の帆風と組んで、写真集「Within the stone」を出したりと、デジタルのみならず、幅広い活動をしている。写真集はわたしも購入したが、美しく神秘的であり、ずっと見ていても飽きることがない。彼の想いが絵に乗り、さらに深い印象を与えているようである。

「違和感」、プラス・マイナスの両面あるが、一個人の言動、やってる事、作ってるモノを客観的に見た時感じることもあると思う。わたし個人の場合、自分本位に走り過ぎて周りが見えなくなったり、中身が伴わなかったり、深みがなく薄っぺらくなってしまってる時に「マイナスの違和感」を感じ、自己嫌悪に陥ったりする。しかし、そこを素通りせず、向き合い、認め、改善することで、プラスにいけるならとことん向き合いたいと思ったりもする。
Atkinson氏のサイト内では、上で書いたような手間について詳しくは書かれていないが(そこがまたにくい)、表面上には出ない一手間、二手間がモノの深みを増す要素になるのは確実にあるし、その感覚を意識することで、なにかしら自分の深みも増せるのかな、と薄っぺらいわたしは勝手に考えてみたりした。

Bill's Downloads
Atkinson氏作成のEpsonカラープロファイル等